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「今度、将軍様、御東下遊ばされ候に付、肥後守滞京、(朝廷を)守護奉り罷り在り候様成されたき御沙汰に付き、尚愚考仕り候ところ、止むを得ざる御事とは申しながら、此節将軍様御東下遊ばされ候は、天下の興廃、この一挙に興り候事にて、深く御勘考遊ばされず候ては、相成らざる儀と存じ奉り候。抑も攘夷の儀、毎日の勅書にも之有り、将軍様親しく天前に於て御伺い遊ばされ候由、然るに御治定相成り候期限、追々御延引に相成り、水戸中納言様御下向、引続き一橋中納言様、全権御委任御下りに相成り候にも御不行届にて、何分朝廷に対せられ、御申し訳之無き御儀と存じ奉り候。然るところ、違勅と申す御沙汰無く候は、必竟御年若の将軍様簾轂の下に御親接遊ばされ候へば、前段の御不行届き共、自ら御役人方に帰し、将軍様の御胸中御明白に相成り候は、右の故と存じ奉り候。 若し将軍様簾轂の下を御離れ遊ばされ候ては、万事隔絶致し、東西の事情相通ぜず、互いに疑惑を生じ、風説区々なる中に讒妄の徒、入り込み候は、勢い自然に御座候ところ、万一関東に於て、攘夷の一條御不行届きに候はば、東西隔絶致し候て、御逆鱗の上、違勅の詔を下され候順にも相成り候はば、其の節如何御処置遊ばされ候哉。肥後守幾程微力を尽し、御為を謀り候共、進退行き当たり候事、眼前に差見候事に御座候。必竟御在京遊ばされ候様、毎々申し上げ候も、右の訳に御座候。若し止むを得ず御東下に相成り候て、攘夷の儀に於て、断然御処置遊ばされ候はば、宜敷候へ共、現在御東下と、御滞京との理非を諭し、き下の御方々を御鎮め遊ばされ候事も、御行届き之無く候て、断然拒絶の御取計いは、憚りながら覚束なく存じ奉り候。若し左様に御座候はば、前申し上げ候違勅の御沙汰下され候は、差見へ候儀に御座候。 因て此節最早第一と存じ候義は、御滞京に御座候。若し不日に東下遊ばされ候はば、断然拒絶に御座候。此の二ヶ條にて御英断御座無く候はば、畏れながら徳川御家の御武運は、是までと思し召さるべく候。源濁りて流れ清く候事は之無き理にて、肥後守のみ滞京にて、職掌相立て候訳は万々之無く候。此節関東表の模様共、危急切迫の由に候へ共、朝廷に対され、将軍様に於て御職掌立つと立たずとに預かり候。其の軽重の段、如何に之有るべき哉。其の得失至厚に御勘考遊ばされ候様仕りたき御義に御座候、且つ肥後守に於ても、只今迄御上洛在らせられ候御時すら、行き及ばざる儀共、恐懼罷り在り候儀に御座候へば、御東下の後不肖の主人、ここ元に罷り在り、何分公辺の御主意を奉じ、皇国の御為如何様尽力仕り候とも、百里外懸け隔て候場所と申し、行届きべき見込み必至と御座無く、御詫び申し上げ候段にも相至るべく、容易ならざる儀に御座候間、予め申し上げ奉り候。以上」 出典:『七年史』。仮読み下し、改行、句読点by管理人。旧字は適宜当用漢字に直しています) 関連:■「今日」「文久3年5月30日(7.15):【京】将軍、容保に滞京・京都守護を内命。会津、将軍東帰に反対 ■「開国開城」「将軍東帰と京都守護職会津藩の孤立」 |
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